(株) ヒグチ設計

薬師ウエーブ通りに向けて

道路を見た瞬間、波だと思った。
今まで造られてきた人為的に画一化された近代的な町づくりは、もうやめにしたい。

老人と若者の共存、伝統とファッション、新旧のバランスなどを織り込んだ、誰からも親しみやすく、飽きのこないデザイン。

かつて自然発生的に、この町が出来たように、波のような路に因んで、また思わず歩いてみたくなるような、ワクワクするような、躍動感を狙って『ウエーブ』(波、うねり、起伏、時代の流れ)という概念を提唱したい。

 

 

道路には、古くから神社やお寺の境内で使用されてきた、御影石の白をベースに敷き詰め、蛇行した路面に沿って、グレーと赤をライン状に構成します。

門前町の参道としての性格、日本的伝統の中に軽快な新しい時代のうねり、波を感じさせることを意図しています。入口に位置するアーチは、一般的に鳥居のような平面的なものが多く、形骸化する傾向にあります。

そこで思い切って、都市のシンボル、ランドマークになりうるようなステンレスパイプを利用して、双曲放物線の曲面を構成し、日本建築の大屋根と、波のイメージを合わせ持つ柔らかい立体的アームを形作ります。

光の変化で表情を変え、通りに向けて24時間、サイン的効果を発揮します。さらに街路灯は、今までのようなボンヤリした明るさではなく、スポットライトを利用して、器具よりも道行く人々をヒロインにし道路をステージとして演出する効果を狙っています。

やがて、人々は思わず吸い込まれるように集まり、今まで知る人ぞ知る薬師銀座から、一躍世界の“ヤクシ”に躍り出ることを期待しながら…。